drambuieの日記

drambuie, life is a dram to be satisfied with

60歳からの健康戦略:小食か多食か

60歳からの健康戦略:小食か多食か:自分に合った食の取り方を探る

人生100年時代と言われる現代において、健康寿命を延ばすための食生活は非常に重要なテーマです。巷では「小食が良い」「断食が健康に繋がる」といった説がある一方で、「しっかり食べて栄養を摂るべき」「食物繊維はたっぷり必要」という意見もあります。60歳からの食のあり方について、両方の角度から考えてみましょう。

(注:本稿には排泄に関する話題が含まれます。苦手な方はご注意ください。)

小食がいいという考え

近年、「小食」や「断食」が健康に良いという考え方が注目を集めています。その背景には、以下のような研究や理論があります。

  • カロリー制限と寿命: 動物実験において、カロリー摂取量を制限することで寿命が延びるという研究結果が数多く報告されています。これは、摂取カロリーを抑えることで細胞の老化を遅らせるメカニズムが働くためと考えられています。
  • 断食(ファスティング: 一定期間食事を断つことで、消化器官を休ませ、体内のデトックスを促すという考え方があります。また、近年注目されているのが、オートファジー(自食作用)の活性化です。断食によってエネルギーが不足すると、細胞内の不要なタンパク質などが分解され、再利用されるオートファジーが促進されると言われています。
  • サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子): カロリー制限や断食によって活性化されると考えられているのが、サーチュイン遺伝子です。この遺伝子が活性化することで、細胞の修復機能が高まり、老化の進行を遅らせる効果が期待されています。

これらの考えに基づき、1日1食や週末断食など、様々な小食・断食法が提唱されています。

多食がいいという考え

一方で、「しっかり食べる」ことの重要性を説く意見も存在します。特に高齢になると、食欲不振や消化機能の低下などから栄養不足に陥りやすいため、適切な量の食事を摂ることは健康維持に不可欠です。

高齢者の健康に詳しい和田秀樹さんは、高齢者の「多食」の重要性を強く提唱しています。彼の見解をまとめると、以下のようになります。

  • 高齢者は低栄養のリスクが高い: 和田さんは、多くの高齢者が「健康のため」と称して食事を制限しすぎた結果、タンパク質や脂質といった必要な栄養が不足する「新型栄養失調」に陥っていると警鐘を鳴らしています。低栄養は、免疫力の低下、筋肉量の減少(サルコペニア)、認知機能の低下、骨粗しょう症うつ病など、様々な健康問題を引き起こす原因になると指摘しています。
  • 肉や卵、牛乳の積極的な摂取: 特に高齢者には、肉、魚、卵、乳製品などの動物性タンパク質を積極的に摂ることを勧めています。これらは効率よくタンパク質を摂取できるだけでなく、コレステロールも悪者扱いせず、免疫細胞やホルモンの材料として重要だと強調しています。
  • 「好きなものを偏らず食べる」ことの重要性: 「健康のために」と我慢ばかりする食生活は、かえってストレスとなり、免疫力低下や食欲不振につながる可能性があるとしています。むしろ、「何でも偏らず食べること」が長寿の秘訣であり、食材のバラエティが豊富なコンビニ弁当さえも、食べ方によっては「長寿食」になりうると語っています。
  • 「栄養が足りない害」の方が「栄養があまる害」より大きい: 若い頃とは異なり、高齢期においては、過度なダイエットや食事制限による栄養不足の方が、少し食べ過ぎることよりも健康リスクが大きいという考え方です。

このように、和田秀樹さんは、高齢期における「食べないこと」のリスクを強調し、しっかりと栄養を摂ること、特にタンパク質を意識的に摂取することの重要性を訴えています。

病気で食事ができない時に耐えられるか?

この「多食」の考え方を裏付ける経験があります。高齢の両親がコロナウイルスに感染し、約2週間にわたって食事がほとんどできない状態に陥りました。回復しましたが、結構痩せてしまったよと言っていました。この経験から、高齢になると、いざという時にどれだけ体に栄養を「貯め込んでいるか」が、病気に対する抵抗力や回復力に直結するのではないか、と強く感じました。予備の栄養があるかないかで、いざという時の体力や免疫力に大きな差が出る可能性があるということです。

病気の際には、体が病気を治すことに集中するため、食欲は出ず、食物の消化にエネルギーを使うことも控えるようになります。体温が上がり、免疫力を高めます。これは自然な体の働きです。そのような食事をしない時間が長時間にわたった場合に生命を維持できるだけの栄養を備蓄しているかどうかが重要だという考えです。

他にも以下のような、食事のボリュームを重視したほうがいい理由があります。

  • 食物繊維の重要性: 野菜、果物、きのこ、海藻などに豊富に含まれる食物繊維は、腸内環境を整え、便秘を予防するだけでなく、血糖値の急激な上昇を抑えたり、コレステロール値を低下させたりする効果も期待できます。「ある程度のボリュームのうんちが必要」という考えはもっともではないでしょうか?食物繊維は便の量を増やし、腸の蠕動運動を活発にすることで、スムーズな排便を促します。ある程度のボリュームの食物繊維が腸を通過することで、腸が健康に保たれる、これはイメージしやすいと思います。
  • 筋肉量の維持: 加齢とともに筋肉量は減少しやすくなります。筋肉はエネルギー代謝を維持し、体を支える上で非常に重要です。十分なタンパク質摂取と適切な食事量を確保することで、筋肉量の減少を抑えることが大切です。

赤ちゃんのうんちの思い出

話は少し逸れますが、「ある程度のボリュームのうんちは必要?」という問いから、ふと思い出したのが赤ちゃんのうんちのことです。

赤ちゃんの良いうんちは、やや発酵した、グリーンピースや枝豆のような青々しい香りがしました。大人のような便臭とは明らかに異なり、どこか生命力に溢れた、そんな印象を受ける香りでした。

これは、まだ赤ちゃんの腸内環境が整っておらず、主に母乳やミルクといった液体状の栄養を摂取しているためかもしれません。母乳やミルクに含まれる乳糖などが腸内細菌によって分解される過程で、特有の香りを生み出していたのかもしれません。この頃のうんちは、まさに健康のバロメーターであり、色や形、そして香りに一喜一憂した親御さんも多いのではないでしょうか。

逆に、大人になってからの便秘気味の時のうんちは、ちょっと顔を背けたくなる香りがするのも確かです。自分のうんちの香りに気を配るのも体調管理に役立ちそうです。

最適なBMIについて:高齢期は「ややふっくら」が吉?

BMI(Body Mass Index:体格指数)は、体重と身長から肥満度を測る国際的な指標で、一般的には18.5~25未満が「普通体重」とされています。しかし、この「最適なBMI」という概念は、年齢層によって異なるという研究結果が増えています。

特に高齢者の場合、若い世代と同じ基準で厳しく体重を管理すると、かえって健康リスクが高まる可能性が指摘されています。多くの研究で、65歳以上の高齢者においては、BMIが22~25程度の「ややふっくら」した状態、あるいは「普通体重」の上限に近い方が、最も死亡率が低いというデータが示されています。

これは、上記で述べたように、病気やケガ、あるいは食欲不振などで一時的に食事が摂れなくなった際に、体内に蓄えられた脂肪や筋肉が「エネルギーの備蓄」として機能するためと考えられないでしょうか?痩せすぎている高齢者は、いざという時に消耗しやすく、回復に時間がかかったり、合併症のリスクが高まったりする傾向があるのです。

もちろん、過度な肥満は様々な生活習慣病のリスクを高めますが、高齢期においては、極端な痩せ型もまたリスクとなるという視点が重要です。健康的な範囲で、少し余裕のある体型を維持することが、長寿と健康寿命の延伸につながる可能性を示唆しています。

60歳からの「ちょうどいい」食のあり方

小食が良いのか、多食が良いのか。結局のところ、どちらが良いかは一概には言えません。個人の体質、活動量、健康状態、そしてライフスタイルによって、最適な食のあり方は異なるからです。60歳からは、これまでの食生活を振り返りつつ、自身の体の声に耳を傾けることがより重要になります。

私としては、栄養としっかり取ることを重視しつつ、体が疲れていると感じた際は食事を控えるなど、状況に応じた対応をしていきたいと考えています。 仕事があるとなかなかファスティングはできないので、リタイアしたら、試してみたい気持ちもあります。

60歳からの健康戦略は、極端な食生活に走るのではなく、自分自身の体と対話しながら、「ちょうどいい」食のあり方を見つけることが大切なのかもしれませんね。