60歳間近の投資戦略:iDeCoのリバランスもお忘れなく
今年は日本株式の高騰が続いています。多くの人がその恩恵を受けている一方で、この状況は私たち60歳を目前に控えている世代にとっては、立ち止まって考え直す良い機会でもあります。
あなたも(そして私も)iDeCo(個人型確定拠出年金)の見直しを検討してみたらいかがでしょうか?
日本、そして世界株式の高騰
日本株は勢いを増していますが、これは日本特有の現象ではありません。米国をはじめとする世界株式も歴史的な高値圏で推移しています。
具体的には、日本の日経平均株価は2024年に史上初の4万円台を突破し、現在も4万8,000円台など高水準で推移しています。例えば、約1年前の2023年10月末の終値が約3万850円であったのに対し、現在は約4万8,500円と、この1年間で約50%を超える非常に大きな上昇を記録しています。また、米国を代表する株価指数であるS&P500も、この1年間で約20%〜30%程度の上昇を見せ、史上最高値を何度も更新する展開が続いています。
この結果、過去に設定した資産配分、例えば「株式50%、債券50%」といった比率が、実際にはこれらの高騰により「株式70%、債券30%」のように、リスクの高い資産に偏ってしまっている可能性があります。
退職後の生活が迫る中で、この「リスクの偏り」を放置するのは賢明ではありません。
リバランスの必要性
なぜリバランスが必要なのでしょうか?
iDeCoは老後の資金形成を目的としており、原則として60歳まで引き出せません。私たちはもうすぐその「出口」に差し掛かります。このタイミングで最も避けたいのは、市場の急落によって積み上げてきた利益を大きく損なうことです。
リバランスとは、現在の資産配分を、当初設定した目標の配分に戻す作業です。高騰した株式を売却し、割安になった(または目標配分より少なくなった)資産(例:債券や現金比率を高めた元本確保型商品)を買い増すことで、全体のリスク水準をコントロールし、安定した状態で60歳以降の引き出しを迎える準備をするのです。
iDeCoのリバランスのやり方
iDeCoのリバランスについては、主に2つの手続きが必要です。
- 現在、すでに保有している商品に関するリバランス(スイッチング):
- これから購入する商品に関するリバランス(配分変更):
- これは、毎月の掛金でこれから購入していく商品の割合を変更する手続きです。例えば、これまでは「株式型ファンドに100%」だったものを、「元本確保型商品に50%、株式型ファンドに50%」といった形に変更します。
iDeCoでは、運用中、最低でも月々171円(国民年金基金連合会手数料105円と事務委託先金融機関手数料66円の合計)の事務手数料が必ずかかります(運営管理機関の手数料は金融機関によって異なり、別途かかる場合があります)。この手数料がかかる関係上、定期預金などの元本確保型商品は、純粋な利回りだけを考えれば本当は良い選択肢ではありません。しかし、60歳を目前にした出口戦略の場合、利息の低さや手数料を度外視しても、資産の目減りリスクを軽減しておくほうが、精神的にも経済的にも優先度は高いと言えるでしょう。
60歳を目前にした出口戦略とは
「出口戦略」とは、iDeCoの運用を終了し、実際に資産を受け取るまでの最終段階の計画です。多くの人にとって、iDeCoの資金は退職金や年金と並ぶ重要な老後資金となります。
私は60歳において、会社の退職金と共に、iDeCoは全額一括で受け取りする予定です。
最終的な受け取り方法の選択
iDeCoの受け取り方法は、主に以下の3つの選択肢があります。
- 一時金として一括で受け取る:
- 退職所得控除の対象となり、控除額の範囲内であれば税制上のメリットが大きくなります。ただし、会社の退職金と合算して計算されるため、税務上のシミュレーションが重要です。
- 年金として分割で受け取る:
- 公的年金等控除の対象となります。長期にわたって安定した収入を得たい場合に適しています。
- 一時金と年金を組み合わせて受け取る:
- 両方のメリットを享受できますが、最も複雑な手続きと税務上の検討が必要です。
60歳を間近に控えた今、資産配分のリバランスと並行して、ご自身の退職金の額や受け取りタイミングも考慮に入れながら、iDeCoの最終的な受け取り方法を決定し、税制上のシミュレーションを行ってみてください。リバランスでリスクを下げた後は、この最終的な「受け取り戦略」こそが、老後資金を最大限に生かす最後の仕上げとなります。
この機会に、ご自身のiDeCoの資産状況を確認し、安心して60歳を迎えられるよう、リバランスと受け取り計画を練り直してみてはいかがでしょうか。