drambuieの日記

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突発性難聴:耳鳴りの漢方薬も見てみる

突発性難聴:耳鳴りの漢方薬も見てみる

ネット広告で耳鳴りの漢方薬の宣伝を見る機会がありました。 それによると体内の水分が多すぎることで、耳鳴りや難聴の原因となっていることがあるということ。

私自身、突発性難聴の治療中で、耳鳴りも気になるため、調べてみました。

明治薬品の「てんらい清流錠」とは

その製品とは明治薬品の「てんらい清流錠」です。

結論から言うと、この薬の中身は「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」で、 「当帰芍薬散」を錠剤にした第2類医薬品です。

成分と特徴

1日量(10錠)の中に、以下の6種類の生薬から抽出されたエキスが含まれています。

  • トウキ・センキュウ・シャクヤク(血を補い、巡りを良くする)
  • ブクリョウ・ビャクジュツ・タクシャ(余分な水分を排出する)

効果・効能

当帰芍薬散は「婦人科系の薬」として有名ですが、効能・効果の中には明確に「耳鳴り」や「めまい・立ちくらみ」が含まれています。 明治薬品は、この漢方が持つ「水の巡りを整える」という性質に着目し、特に耳鳴りやめまいに悩む層に向けてパッケージング・提案しているのが「てんらい清流錠」というブランドです。

他の漢方薬との比較

当帰芍薬散と五苓散

同じく、利水の効能がある漢方に「五苓散」があります。

当帰芍薬散と五苓散の構成生薬を比較すると、「共通して水の巡りを整える成分」「当帰芍薬散に特有の血を補う成分」の違いが明確になります。

構成生薬の構成を以下の表にまとめました。

構成生薬の比較表

生薬名 役割 当帰芍薬散 五苓散
タクシャ(沢瀉) 利水(水分代謝を促す)
ブクリョウ(茯苓) 利水・鎮静
ビャクジュツ(白朮) 利水・健胃(胃腸を整える)
チョレイ(猪苓) 強力な利水
ケイヒ(桂皮) 気の巡り・温め
トウキ(当帰) 補血・血行促進
シャクヤク(芍薬) 養血・鎮痛・鎮静
センキュウ(川芎) 活血(血を巡らせる)
成分から見る3つの大きな違い
1. 「水」へのアプローチの違い
  • 共通点: タクシャ、ブクリョウ、ビャクジュツの3つは共通しており、内耳のむくみ(水毒)をとる基本構成は同じです。
  • 五苓散の特徴: さらにチョレイが加わることで、より「水を出す(利尿)」力が強まっています。また、ケイヒ(シナモン)が気を巡らせ、水分の停滞による頭痛やめまいを素早く抑える働きをします。
2. 「血」へのアプローチの有無(当帰芍薬散の独自性)
  • 当帰芍薬散の特徴: 五苓散にはないトウキ・シャクヤク・センキュウの3つが含まれています。これらは漢方で「補血(ほけつ)」の基本とされる成分で、血管を拡張して血流を改善し、耳周辺の細胞に栄養を届ける役割を担います。
3. 胃腸への負担
  • 五苓散: 生薬数が5つと少なく、構成もシンプルでシャープなため、比較的どなたでも服用しやすいのが特徴です。
  • 当帰芍薬散: 血を補う生薬(特にトウキなど)は、人によっては胃にもたれを感じる場合があります。胃腸が非常に弱い方の場合は、服用に注意が必要です。
まとめると
  • 五苓散は「水抜き」に特化: 余分な水分をさばく生薬が中心で、即効性を期待する場面(気圧変化や二日酔いなど)に向いています。
  • 当帰芍薬散は「水抜き + 血の補給」: 水分を整えつつ、血を補い血行を良くする成分が厚いため、体質改善を含めた長期的なケアに向いています。

葛根湯との比較

突発性難聴になって、葛根湯を勧められたことがあります。(医療の専門家からではありません。)血行を良くすることが重要という考えからです。

葛根湯とも比較してみましょう。

3つの漢方薬 比較表

当帰芍薬散、五苓散、そして有名な葛根湯の3つを比較します。

これら3つは、漢方の考え方において「どのトラブル(気・血・水)にアプローチするか」が明確に分かれています。

特徴 当帰芍薬散 五苓散 葛根湯
主なターゲット 水 + 血(栄養) 水(循環) 気 + 血(巡り)
得意な状態 冷え、貧血、むくみ むくみ、頭痛、二日酔い 風邪のひき始め、肩こり
耳鳴りへの考え方 栄養不足・血行不良による耳の機能低下 内耳のむくみ(水毒)による圧迫 首・肩の凝りによる血流停滞
体力の目安 低め(虚証) どちらでも 高め(実証)
即効性 じっくり(数週間〜) 比較的早い(数時間〜) 早い(数十分〜)
1. 当帰芍薬散:じっくり「育てる」
  • メカニズム: 血を補い、余分な水を除きます。
  • 耳鳴りとの関係: 「耳に栄養が届いていない」タイプ。疲れやすく、冷え症で、慢性的に「ジー」と鳴るような場合に、体質から底上げを図ります。
2. 五苓散:素早く「流す」
  • メカニズム: 水分の偏りを調整する(利水作用)ことに特化しています。
  • 耳鳴りとの関係: 「耳がむくんでいる」タイプ。低気圧で耳が詰まる、めまいがする、あるいは頭痛を伴うなど、水の停滞が原因の症状をシャープに改善します。
3. 葛根湯:勢いよく「温め・巡らせる」
  • メカニズム: 体を温め、発汗を促し、筋肉のこわばりをとります。
  • 耳鳴りとの関係: 「首や肩がガチガチ」なタイプ。肩こりや首の緊張がひどく、それによって耳周りの血流が悪くなって鳴っている場合に適しています。
飲み合わせと注意点

この3つを比較した際、特に注意が必要なのが葛根湯です。

  • 「麻黄(まおう)」の有無: 葛根湯には交感神経を刺激する「麻黄」が含まれています。胃腸が弱い方や、不眠ぎみの方、血圧が高い方は注意が必要です。(当帰芍薬散と五苓散には含まれていません)
  • 併用について: 当帰芍薬散と五苓散は「水」をさばく成分(タクシャ、ブクリョウ、ビャクジュツ)が重複しているため、同時に飲むと「水の排出」が強まりすぎて体力を消耗することがあります。
まとめ:どれが今の状態に近いですか?
  • 「肩こりがひどくて、耳鳴りがする」なら、まずは葛根湯
  • 「天気が悪いと耳が詰まる、頭が重い」なら、五苓散
  • 「冷え症で疲れやすく、慢性的に耳鳴りがある」なら、当帰芍薬散

全部に当てはまるよ!という人もいるかもしれませんね。その場合は、気になるものから少しずつ、ゆっくりと試してみてください。

耳鳴りの漢方と突発性難聴の関連

私が今回、耳鳴りの漢方を調べた背景には、私の「突発性難聴」との関係性がありました。実は、漢方の視点では「耳鳴り」と「突発性難聴」の原因には共通点が多いと考えられています。

どちらも、現代医学では原因不明とされることが多いですが、東洋医学(漢方)の物差しで見ると、以下の2つの大きな要因が浮かび上がってきます。

1. 内耳の「水分過多(むくみ)」

耳の奥にある「内耳」は、リンパ液という液体で満たされています。この水分の巡りが悪くなり、内耳がパンパンにむくんでしまう(水毒)と、神経が圧迫されて難聴や耳鳴りが引き起こされます。 このタイプには、余分な水をさばく「五苓散」や、水と血の両方を整える「当帰芍薬散」が選択肢に入ってきます。

2. 耳周辺の「血行不良」

内耳は非常に細い血管で栄養を補給しているデリケートな器官です。冷えやストレス、あるいは肩こりなどで血流が滞ると、耳の細胞がエネルギー不足に陥り、悲鳴を上げるように耳鳴りがしたり、急激に聞こえが悪くなったりします。 血を補い巡らせる「当帰芍薬散」や、体を温めて血行を促す「葛根湯」が注目されるのはこのためです。

つまり、耳鳴りのケアとして紹介されている漢方薬は、その根本にある「水」や「血」の乱れを整えることで、結果的に突発性難聴の回復をサポートしたり、再発を防いだりする可能性を秘めているというわけです。

当帰芍薬散の製品たち:含有量の違い

実際に購入する際の参考として、 主要な市販の当帰芍薬散について、1日あたりの「エキス量」と「処方割合(満量に対してどれくらいか)」をまとめました。

漢方薬はメーカーや製品によって、1日分に含まれるエキスの量が大きく異なります。

当帰芍薬散 エキス配合量比較表

メーカー・製品名 1日のエキス量 処方割合 特徴
ツムラ(医療用23番) 4.0g 満量 病院で処方される基準値。顆粒タイプ。
ロート製薬(和漢箋) 3.52g 満量 市販の錠剤では珍しい満量処方。しっかり飲みたい方向け。
明治薬品(てんらい清流錠) 2.2g 1/2量 通信販売が主。胃腸への優しさと継続性を重視。
ツムラ(市販・顆粒) 2.0g 1/2量 ドラッグストアで一般的。1日2回服用で利便性が高い。
クラシエ(錠剤) 1.65g 1/2量 錠剤タイプ。1日3回服用。比較的マイルドな設定。

数値を見る際のポイント

1. 「てんらい清流錠」の位置づけ

製品データでは1日量2,200mg(1/2量)となっています。これは市販の当帰芍薬散の中では標準的な「1/2量処方」にあたります。病院の満量処方と比較すると、成分量は半分ですが、その分、副作用(胃もたれ等)のリスクが抑えられています。

2. 「生薬量」と「エキス量」の違い

パッケージ裏面を見ると「トウキ1.5g、シャクヤク3.0g…から抽出」と書かれているのが生薬量で、それらをギュッと煮出した固形分がエキス量です。比較する際は「エキス量」を見るのが最も正確です。

3. 錠剤と顆粒の選択
  • 錠剤(てんらい、ロート、クラシエ): 漢方特有の香りが苦手な方や、外出先で手軽に飲みたい方に適しています。
  • 顆粒(ツムラ): お湯に溶かして飲むことで香りの効果(芳香性健胃作用)も期待できますが、味がダイレクトに伝わります。

結論として

「てんらい清流錠」は、成分量としては標準的な1/2量であり、強すぎず弱すぎず、長期的に体質(耳鳴りや冷え)を整えていくのに適した設計と言えます。

もし「もっとガツンと効かせたい(満量を試したい)」ということであれば、ロート製薬の和漢箋や、医療機関での処方が選択肢に入ってきます。

まとめ

今回、耳鳴りの漢方薬について調べてみて、以下のことが分かりました。

  1. 「てんらい清流錠」は当帰芍薬散である 耳鳴り専用の特殊な新薬ではなく、古くからある「当帰芍薬散」を飲みやすい錠剤にしたものです。
  2. 原因に合わせた使い分けが重要
    • 水分の停滞(むくみ)なら「五苓散」
    • 血行不良と冷えなら「当帰芍薬散」
    • 肩こりや首の緊張なら「葛根湯」 というように、自分の耳鳴りがどこから来ているのかを見極める必要があります。
  3. 成分量(処方割合)の違いに注意 同じ名前の漢方薬でも、メーカーによってエキス量は異なります。てんらい清流錠のような「1/2量」は、胃腸への負担を抑えつつ長期的に体質を整えたい人に向いています。

まずは自分の体質に合った分量と種類を選び、焦らずじっくりと向き合っていきたいと思います。