小ネタ:iDeCoの定期預金は預金保険(ペイオフ)の保護対象?
iDeCo(個人型確定拠出年金)で運用している定期預金も、実は通常の預金と同様に預金保険制度(ペイオフ)の対象です。
万が一、その定期預金を提供している金融機関が破綻した場合、どのようなルールで守られるのか、改めて整理しておきましょう。
保護される金額
原則として、元本1,000万円までとその利息が保護されます。
ここで注意したいのは、iDeCo専用の別枠があるわけではないという点です。同じ金融機関に持っている他の預金(普通預金や通常の定期預金など)と合算して1,000万円までとなります。
注意点:合算(名寄せ)の仕組み
iDeCoの定期預金は、記録上は信託銀行の名義になっていますが、実質的には加入者本人の資産として扱われます。そのため、個人がその銀行に直接預けているお金と「名寄せ」が行われます。
【例】 A銀行に自分名義の普通預金が800万円あり、iDeCoでもA銀行の定期預金を選んで300万円運用している場合、合計は1,100万円となります。 この場合、保護されるのは1,000万円まで。超えた100万円分については、破綻した銀行の財産状況によってカットされる可能性があります。
現時点ではいいが……将来のリスク
iDeCoが始まってから(制度の普及から)まだそれほど年数は経っていません。現時点でiDeCoの定期預金残高だけで1,000万円を超えているというケースは稀でしょう。
また、iDeCoは毎月の口座管理手数料がかかるため、現在の低金利下で定期預金のみの運用を行うと、手数料が利息を上回る「手数料負け」のリスクもあります。
しかし、将来的には以下のようなケースで注意が必要になります。
- 長期積立の結果:20年、30年、40年と着実に積み立てを続け、元本が1,000万円を超える。
- 出口戦略でのスイッチング:受取時期が近づき、暴落対策として投資信託から定期預金へ一括で資産を移した結果、一時的に大きな現金が1つの銀行に滞留する。
特に、メインバンクをiDeCoの運用先に選んでいる場合は、知らないうちに「1,000万円の壁」に突き当たっているかもしれません。
まとめ:資産が大きくなった時こそ「棚卸し」を
「iDeCoは投資信託で運用するもの」というイメージが強いですが、元本確保型を活用している方や、スイッチングなどで安定運用に切り替えた方は、このペイオフのルールを頭の片隅に置いておくべきです。
ちなみに、投資信託で運用している分については、預金保険の対象外ですが、資産は「信託財産」として分別管理されているため、金融機関が破綻しても全額が保護されます。
歴史の教訓
1997年(平成9年)の北海道拓殖銀行や1998年(平成10年)の日本長期信用銀行など、かつては巨大銀行も破綻しています。当時は金融システムの崩壊を防ぐため、政府が特例で全額保護していましたが、現在は「1,000万円まで」のペイオフが原則となっています。2010年(平成22年)には日本振興銀行で実際にペイオフが発動された例もあります。
「リスクを避けるための定期預金」が、実は「ペイオフ上限」という別のリスクを抱えていないか。資産形成が順調に進んでいる時こそ、もしもの時の守られ方を再確認しておきたいですね。